電気通信大学 大学院情報理工学研究科 基盤理工学専攻 山北研究室

イオン画像分光によるナノ粒子の光反応の研究

チタンなどの金属に分子を吸着させると、エネルギー吸収効率が上がります。金属分子クラスターを気相で合成します。レーザーの吸収でどんな反応が起こるでしょうか?

分光研究 62, 61 (2017)

 化学反応は衝突を契機とする入口反応としての構造変化・結合生成)から出口反応としての解離反応に至る過程として進みます。当研究室では、特に金属分子クラスターイオンに注目してイオン画像分光と呼ばれる手法で光解離過程を研究しています。金属分子クラスターとは、金属とその他の分子が結合したクラスターであり、金属表面に吸着した分子や金属錯体を擬似的に再現できます。
 イオン画像分光とは、検出器表面でイオンの到達時間と位置を同時に測定することができる実験手法です。これに反射型飛行時間質量分析計を組み合わせ、調べたい分子のみを選別し観測することができます。レーザーなどで光解離させた解離種の並進エネルギーとその方向を知ることができ、励起状態の寿命や分子の配向情報などの反応ダイナミクスを知ることができます。
 この実験は真空中で行われるため、対象分子が外界から遮断された孤立系となるために低温まで冷却され、大気中では観測されない系や分子間の弱い相互作用を扱うことができます。このような環境は宇宙空間と似ていることから、宇宙での化学反応の研究にもつながっています。

文献

[1] H. Hoshino, Y. Yamakita, K. Okutsu, Y. Suzuki, M. Saito, K. Koyasu, K. Ohshimo, and F. Misaizu,Chemical Physics Letters 630, 111-115 (2015).
[2] 山北 佳宏,分光研究 62, 61-74 (2017).


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